志村貴子先生の新刊「ビューティフル・エブリデイ」

私は漫画家の志村貴子氏のファンで、先生の漫画で市販されているものは全て持っている。

志村貴子先生といえば、「青い花」、「放浪息子」といった特殊な性嗜好を持つ少年少女の葛藤と変化を描くものや、「敷居の住人」といった不良少年が周囲の環境に反発しながら自身の進む道を模索するものなど、思春期を迎えた登場人物の停滞と成長を描く物語でおなじみである。

そんな志村貴子先生の新刊が出た。「ビューティフル・エブリデイ」だ。

主人公はエロ漫画家の親を持つ高校生、花琳だ。母親が再婚することになり、突如兄妹を持つことになる。兄は同い年だが、ウケを狙って下ネタを言い花琳をドン引きさせるような童貞こじらせセクハラ男。妹は年下で、「キモイ」が口癖、花琳と兄が関係を持っていると勘違いして、「嫌い」と言い放つようなブラコン妹である。

と、紹介しようとすると割とボロクソ言ってしまうことになる兄妹だが、セクハラ兄は両親の離婚に強い困惑を抱え、ブラコン妹はアイドルという夢を持つが性格が悪い自分の振る舞いに悩むなど、それぞれが共感できるような想いを抱えており、感情移入がしやすいように描かれている。

この物語ではそんな家族のぐちゃぐちゃな人間模様が主に描かれる。しかし登場人物はもちろんこの三兄弟だけではない。一巻では花琳の彼氏と思われる青年や花琳に憧れを持つ同級生が登場し花琳たちの物語に奥行きを持たせた。

 

第1巻を読んだところでは、個人的に今までの志村貴子先生の漫画の中で一、二を争う面白さである。早く続きを読みたい、、、のだが、巻末の初出を見る限り、第2巻の発売は2年後である。あと「娘の家出」も早く続きが見たいし、「淡島百景」、「さよなら、男の子」も楽しみにしている。

志村貴子先生には無理をせず毎月新刊を出していただきたい。

 

 

追記)「娘の家出」は既に完結していたようです。すみません。